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ガラスフュージング

ガラスフュージングは電気炉でガラスをとかして楽しむガラス工芸の技法です。

組み合わせるガラスは板ガラスだけではなく、つぶ状ガラス(ナゲット)・ガラスパウダー(フリット)・棒状ガラス(ストリンガー)などがあります。

焼成するガラスは膨張係数の合ったガラスを使う必要があります。膨張率が違うガラスを組み合わせて焼くと、焼成途中や冷却中に歪が生じ破損してしまいます。一見破損していなくても後日段々とヒビが入り割れてしまう事もあります。このため使用するガラスの選択には注意する必要があります。私の工房ではアメリカのブルズアイ社製のガラスとイタリア、ヴェネツィアングラスのエフェットレ・モレッティー社のガラスを使用しております。

制作する作品は全て1点物であり、同じデザインで作成しても焼き上がり状態から全く同じ作品ができる事はありません。


古代エジプトから始まったと伝えられるフュージングの歴史はモザイクガラスがそのルーツといわれています。一つ一つ色ガラスを並べデザインする手間のかかる技法であったために、その後開発されたガラスの技法により歴史の中で影をひそめてしまいました。

1960年代アメリカのアンティークブームとともにステンドグラスが流行し、フュージング専用ガラスも開発されて新しい技法として広まりはじめました。


ガラスを焼成して溶着する事をフュージングと言いますが、ガラスを曲げる「スランピング」湾曲に曲げる「ドレーピング」落とし込む「ザギング」、鋳型を作ってガラスを鋳造する「パート・ド・ヴェール」など多くのガラスワークを「キルンワーク」と言います。

電気炉の中にデザインしたガラスをセットして温度を上げるとガラスが溶けて形状が変わります。低い温度ですとガラス同士が接合するだけですが、800℃の高温だと重ねたガラスが完全に溶け合います。ですのでガラスフュージングは様々なガラスを使用し、温度の設定を変える事で多様な表情のガラス作品を作ることができます。

ガラスをカットして並べて焼成。必要に応じて再焼成、スランピングやザギングでガラスを曲げてとゆっくりとしたペースでガラスの作品を作れます。一つの作品を作るのに時間はかかりますが、ガラスと向き合いじっくりと作り上げた作品は世界で一つだけの愛しい物です。小さなアクセサリーからお皿などのテーブルウェアなど様々な作品を作る事ができます。



ミクロモザイク

ミクロモザイクは極小細工が美しいガラス工芸です。

まず「モザイク」は紀元前3世紀まで遡り現在のマケドニア付近で発祥したものと言われています。

その後マケドニアを圧性したローマ人がマケドニア地方の美しいモザイク画に魅了され、住居の床をモザイクで装飾し始めました。こうしてローマ帝国に広がったモザイク美術はビザンツ帝国の時代になると教会や聖堂の内部装飾に用いれ全盛期を迎えます。この時代イタリア・ラヴェンナにあるサン・ヴィターレ聖堂など数々の素晴らしいモザイク壁画が生み出されました。その後ルネッサン期になるとフレスコ画が隆盛、モザイク画は衰退します。

しかしこの頃カトリック総本山があるバチカン市国では建立から1000年経った老巧化した聖ピエトロ寺院の改修工事が始まり一部にモザイク画が取り入れられました。

ところが120年かけて完成した大聖堂の祭壇などの油彩画が早くも完成時には劣化をはじめ、堂内のこれらの絵画を光や湿度にも強く耐久性のある「モザイク画」へと替えられました。この一大事業にあたり腕利きの職人が多数集められました。しかし彼らはこの仕事が終われば職を失ってしまいます。そこでその技術を生かし持ち運びのできるブローチなどジュエリー類やピルケース、テーブルの卓面など小さな作品にモザイクを施す新しい試みを始めました。これが「ミクロモザイク」の始まりです。ミクロモザイクは18世紀から19世紀にかけて大流行しました。ブームに拍車を掛けたのが、当時流行していたイギリス人貴族が学業を終え見分広めるためにヨーロッパ各地を逡巡した「グランド・ツアー」でした。この時に彼らが持ち帰った人気の土産品がミクロモザイクでした。

ミクロモザイクは見た目の美しさだけではなく、積み重ねられた歴史と職人たちの思いが伝わる芸術品です。

モザイクの歴史とミクロモザイク発祥の背景がとても興味深く細かい事好きな私はミクロモザイクに嵌ってしまいました。


ミクロモザイクのつくり方は

先ずはパーツを作ります。お花、花びら、葉、全てのパーツが手作りです。デザインに必要なパーツをガラス棒を溶かして鉄芯に巻き付け形を作り引っ張り伸ばし金太郎飴の様な物を作ります。

土台となる金属などの枠に漆喰を薄く敷き枠の高さにカットしたパーツを立てていきます。枠の中でパーツが動く事がない程にぎっしり詰め込めたら出来上がりです。1ミリにも満たないパーツですので緻密で気の遠くなるような作業ですが、最後の一つを入れた時は作り切った達成感と解放感その感触が快感になります。


集中して物事に没頭する作業は集中力を高める、維持する力に繋がります。仕事や勉強で一番大事な事は集中力です。集中力を養う為にもミクロモザイクは良いですよ。


カワノナカ ガラス工房

2015年11月に自宅の庭の片隅に小さな工房を開設しました。


子供の頃、安曇野の祖母の家に行くと近所のガラス工房に行って作業の様子をずっと見ていました。
自分の予想を超えてくるくると姿を変えていくガラスが楽しくて毎日通っていました。


建築士の多くは趣味も建築です。旅行に行くのも建築物を見るのが目的になる事が多いです。

ある日庭園美術館(旧朝香宮邸)を訪れた時にルネ・ラリックの玄関ドアのレリーフに心射貫かれてしまいました。

何度となくこの前を通り見ていたのにそこまでの感動を覚えたのにも驚きでした。

何となく仕事も趣味も建築でいいのかと思い始めていた頃、子供の時に憧れたガラス作り。時と思いがラリックのレリーフの前で一致してガラスを作りたいと思ったのでしょう。しかしこのレリーフは子供の頃見た物とは大きく違っていましたので、ガラス工芸について調べパート・ド・ヴェールのアーチストのクラスに通いはじめました。


約6年程様々なガラスの工法を習いガラスフュージングとミクロモザイクを中心に制作していこうと考え工房を開設しました。まだまだ勉強中ですが、制作と共にガラスつくりの楽しさを皆に知って貰いたいと思いワークショップも開講しております。